自然対数の底e(ネイピア数)の,無理数や超越数・極限収束の証明などの公式

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ネイピア数 e の性質について。

自然対数の底 e がどうやって発見されたかなど。

eの性質が発見されてきた経緯まとめ

下記にeの基礎的な性質や諸公式の導出方法や過程をまとめる。

  • 借金の複利計算を細かくした場合の挙動から発見された。発見者はベルヌーイ。
  • 利子の計算で,複数回だけ利子が付くとする。利子計算の回数つまり複利の回数が増えれば増えるほど,上乗せする1回分の金利は減ってゆく。
    • この状況下で,いくら複利の回数を増やしても,合計の利子は一定額に近づく。
    • この最終的な金利の収束値が e で表現される。
  • 指数関数の微分を考える時にも e の極限が現れる。これを使うと,eを底とする指数関数の微分も導出でき,その値は微分前と同じである。
  • e^xの微分が分かると,この関数をテイラー展開する事ができる。とくに x = 0 での値を求めることにより,e の級数表示を得る。
  • e の級数表示の具体値を使うと,e が一定値に収束する事と,無理数である事と,超越数である事を証明できる。
    • e の極限が一定値に収束する事は,級数表示が単調増加である事と,この級数表示が上から押さえられて有界であることを示せばよい。
    • 無理数である事の証明は,自然数を分母・分子に持つような分数の形を仮定して矛盾を導く。
    • 超越数である事の証明は,有理数係数の代数方程式を仮定して,その解がeだとして矛盾を導く。
  • 超越数どうしをただ足しただけの π + e が超越数かどうかは分かっていない。

以下は参考資料。

eの発見

複利計算からeが発見されたことについて:

Lucky Blog: 自然対数の底"e"が”自然”な理由
http://ilovepandorahearts.blogspot.jp...

  • (1+1/t)^tは借金の複利計算をしたときに出てくる式の一部であり、利子の繰り入れ回数(t)を無限大に近づけたときにこの式の値が落ち着く数字がe


eの驚異 : たくろふのつぶやき
http://takutsubu.dreamlog.jp/archives...

  • 年利を細かく分割して、短い期間ごとに掛けていくと、結局利子はどのように増えていくのか。


年複利回数が大きくなると残高が”定額”に近づく理由とは
http://www.h6.dion.ne.jp/~yadon/bonds...

  • 年複利回数が多いほうが、「より有利に増やせる」わけですが、複利回数が多くなればなるほど残高はどんどん増えていくのか、というと、実はそうではありません。 年間の複利回数が大きな数字になると、年間の元利合計額は”定額”化してしまうのです。

微積分でもeが現れる

eの出現や級数表示について:

e自然対数の底
http://www.ne.jp/asahi/search-center/...

  • eの収束性について
  • 数列{an} は収束する。∵定理:有界な単調数列は収束する。


数学の自然対数の底(ネイピア数)eをわかりやすく教えてください。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...

  • 指数関数の微分からeが現れることについて
  • 関数f(x)=log[a]xを微分することを考えます。


2 テイラー展開から三角関数の諸公式
http://akita-nct.jp/yamamoto/lecture/...

  • eの級数表示の導出について
  • 指数関数$ e^x$もテイラー展開できる.


ネイピア数の無理性の証明 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8...

  • e = \frac{a}{b} を満たす自然数 a, b が存在すると仮定

数論的な超越性

eが超越数である事の証明について:

e_transc.pdf
http://www.math.tsukuba.ac.jp/~wkbysh...

  • 定理1


超越数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%8...

  • 超越数(ちょうえつすう, transcendental number)とは、代数的数でない数、すなわち有理係数の代数方程式    ( かつ、各 は有理数) の解とならないような複素数のことである。
  • 有理数は一次方程式の解であるから、超越的な実数はすべて無理数になる。
  • 超越数論は、超越数について研究する数学の分野で、与えられた数の超越性の判定などが主な問題である。 よく知られた超越数にネイピア数(自然対数の底)や円周率がある。
  • ただし超越性が示されている実数のクラスはほんの僅かであり、与えられた数が超越数であるかどうかを調べるのは難しい問題だとされている。例えば、ネイピア数と円周率がともに超越数であることがよく知られているにもかかわらず、それをただ足しただけの π + e すら超越数かどうか分かっていない。


代数的数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A...

  • 全ての無理数が代数的数であるかというと、そうではないことが知られている。たとえば円周率 π や 自然対数の底(ネイピア数)e は、0 以外のいかなる有理数係数多項式に対しても、根になることはない。このような数のことを超越数と呼ぶ。

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