グリーン関数の意味は,点電荷が作る静電ポテンシャル。電磁気学や量子力学で線形作用素の逆演算
微分方程式を解くためのツールとして,
物理学でよく現れるのがグリーン関数。
グリーン関数はよくわからない,という人が多い。
しかし,物理的なイメージを把握すれば理解できる。
電磁気学でグリーン関数が出てくるのは,ポアソン方程式
まず,ポアソン方程式を考えてみよう。
電磁気学のポアソン方程式において,
微分作用素は,「ポテンシャルから電荷分布を求める」作用素だ。
ポアソン方程式:
(微分作用素)×(ポテンシャル,未知かつ計算しづらい)
=(電荷分布,既知)
点電荷のポアソン方程式を考えれば,グリーン関数が現れる
ここで,点電荷(=デルタ関数)がつくるポテンシャルを考えた場合,
ポアソン方程式は簡単な形になる。
点電荷のポアソン方程式:
(微分作用素)×(点電荷のポテンシャル,未知だが計算しやすい)
=(点電荷)
ここで,「点電荷のポテンシャル」のことを「グリーン関数」と呼ぼう。
この式を書き換えると:
(微分作用素)×(グリーン関数)=(点電荷)
ここで,右辺の点電荷はデルタ関数であり,
この方程式はフーリエ変換などで解けて,グリーン関数が解析的に求められる。
これをさらに形式的に書き換えると
(点電荷のポテンシャル)=(グリーン関数)
=(微分作用素 ^(−1))×(点電荷)
とも記述できる。
つまり,グリーン関数とは,「もとの微分作用素の逆演算」をした結果の産物なのだ。
グリーン関数を積分すれば全体が分かる
そして,「点電荷が作るポテンシャル(=グリーン関数)を
電荷の分布に畳み込みながら積分」すれば,
すべての電荷がつくるポテンシャルを生むことができる。
(なぜなら,ポアソン方程式は線形微分方程式だから。)
全電荷のポテンシャル作るがわかったという事は,つまりポアソン方程式が解けてしまう。
だから,電磁気学においてグリーン関数を考える目的というのは,この
- 「点電荷が作るポテンシャルを,電荷の分布に畳み込みながら積分」
というゴールに向かうためのツールなのだ。
ポアソン方程式以外でも,考え方は同じ
ポアソン方程式だけでなく,
もっと複雑な微分方程式における線形作用素を考えてもよい。
まずはデルタ関数について解を求め,
つぎにソース項にしたがってその解(グリーン関数)を積分すれば,
もとの微分方程式は解けた,と考えるわけだ。
シュレディンガー方程式も微分方程式なので,
量子力学においてもグリーン関数は数学的なツールとして現れることになる。
グリーン関数の物理的な意味:
グリーン関数とラプラス方程式・波動方程式(電磁気学第二参考資料)
http://www.g-munu.t.u-tokyo.ac.jp/mio...
- ある電荷分布を与えた時の電場は、点電荷の作る場を重ねあわせることで 計算できる
- 結局、グリーン関数を求めるということは、点電荷の作る電場を求めること
グリーン関数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B...
- 点電荷が別の位置rに作る静電ポテンシャルを表したものがグリーン関数であり、これを重ね合わせたものが電荷分布ρ(r)の作る静電ポテンシャルψ(r)である
もっと詳しく学ぶには
詳しいテキスト:
量子力学におけるグリーン関数
http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/...
- K氏:そうかい,迷惑なんてちっともないよ。それでその伺いたいことって何なんだい。
- ユナ:実は量子力学におけるグリーン関数についてなの。
- ↑こんなシチュエーションあるわけないだろwwwwwwwww
応用数学のテキスト/Applied mathematics
http://www4.atpages.jp/redmagic/VDNF/...
- 線形作用素(演算子)Lについての微分方程式Lφ(x)=-ρ(x)を解くためにはLの逆作用素L^{-1}を見つけ、左から両辺に掛ければ良い
2 グリーン関数
http://www.akita-nct.ac.jp/yamamoto/l...
- 境界のみで決まる方程式の解 G (=点電荷に対するグリーン関数)が分かれば,内部にどのように電荷が分布しようとも,積分を行うだけで,内部のポテンシャルが分かる。
- このようなことが言えるのはラプラス演算子が線形演算子になっているからである
- グリーン関数はポアソン方程式に限らない
対話・グリーン関数
http://hb3.seikyou.ne.jp/home/E-Yama/...
- エミリー:一人でボンヤリ宇治川の畔のベンチに座って周りの緑を眺めていたとき、ふっと以前からもやもやしていたグリーン関数のことを思い出したのよ。
- 電荷が空間に分布している場合の静電ポテンシャルは、各点における電荷の作るポテンシャルの和として表せる、つまり重ね合わせの原理が成り立つということが知られている。これはポテンシャルが線形微分方程式の解ということから帰結される大変重要なポイント
- いきなり一般解を求めるのではなく、重ね合わせの原理の活用を考える。つまり、結果は原因の寄せ集めである、そしてこの時、活躍するのが原因と結果を関係付けるグリーン関数