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集合論で,超越数全体や無理数全体の集合の基数は「非可算無限」つまりアレフであり、実数全体と同じ濃度を持つ

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大学で学ぶ「集合位相論」(実数論)で,無理数や超越数の個数がどれぐらい多いかについて。


自然数や実数は無限に存在するが,その「多さ」の質は異なる。

自然数は「番号を付けて順番に並べられる」ていどの多さ(=可算)だが,

実数全体はそうではない。


無理数や超越数も同じく,「番号を付けられない」ほど多い。

これらの集合は,可算でない。非可算無限である。

無理数や超越数の集合が,可算ではないことの証明

どうしてなのかというとその理由は,「基数の足し算」をすればわかる。

「可算無限と可算無限を足し合わせても,高々,可算である。」

という定理があり,この結果を使うのだ。


実数を分割する方法はいくつかある。

まず,無理数に注目してみよう。


実数は下記のように分割できる。

  • 有理数(可算個)
  • 無理数

ここで,この2つの集合を足した結果は,実数全体である。

つまり非可算である。


そして,もしも無理数全体が可算だとすると,

有理数と無理数の和集合も可算になってしまい矛盾が生じる。

だから結論として,「無理数全体の基数は非可算」といえるのだ。


上記の議論と同じく。実数を別の仕方で分割してみよう。

  • 「代数的数」の全体(有理係数の代数方程式の根として生成できる数)=可算個
  • 超越数(有理係数の代数方程式の根として生成できない数)

このように実数を分割した場合,

前者は可算個だから,やはり後者は非可算個だとわかる。


上述の証明のアイデアとしては,

  • 有理数や代数的数が可算個であること
  • 補集合の取り方
  • 基数の足し算
  • 背理法

などの数学的なテクニックを使っている。

なかなかおもしろい結果ではないだろうか?

集合の大きさのまとめ

可算個(アレフ・ゼロ):

  • 自然数
  • 有理数(自然数を含む)
  • 代数的数(有理数に加え,一部の無理数も含まれる)

非可算個(アレフ):

  • カントール集合(3分割して真ん中を削除する,という操作を繰り返してできる図形)
  • 超越数(代数的でない数。πやeなどを含む)
  • 無理数(超越数を含む。また,一部の代数的な数も含む)
  • 実数(上記のすべてを含む)
  • 平面上に存在するすべての点
  • 3次元空間上に存在ずるすべての点,etc


集合の濃度という観点で見ると,

可算か,非可算かで言い尽くせてしまう。


集合の種類は世の中にたくさんあるが,

その特徴量ともいえる「濃度」は,パターンが限られる。

集合を分類するためにすごく役立つのがわかる。

参考資料

無理数も超越数も,その全体集合の基数は非可算:

連続体濃度 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E6%BF%83%E5%BA%A6#.E9.80.A3.E7.B6.9A.E4.BD.93.E6.BF.83.E5.BA.A6.E3.82.92.E3.82.82.E3.81.A4.E9.9B.86.E5.90.88

  • 連続体濃度をもつ集合の具体例。
    • 連続体濃度を持つ集合は、数学の様々な分野で表れる。以下によく知られた例を挙げる。
  • R: 実数全体の成す集合。
  • R における任意の非退化な閉区間あるいは開区間。
    • たとえば単位区間 [0,1] など。
  • 無理数全体の成す集合。
  • 超越数全体の成す集合。


ラッカー「ホワイトライト」と無限と連続体問題
http://kreisel.fam.cx/webmaster/clog/img/www.ice.nuie.nagoya-u.ac.jp/~h003149b/lang/p/white_light.html

  • 「実数の部分無限集合は必ず, 自然数全体または実数全体のどちらかと1対1に対応するのか」?
    • この問題を連続体問題と呼び、これが成り立つという予想を連続体仮説と呼ぶ
  • 例えば、有理数全体の集合とか代数的数全体の集合は自然数と同じ濃度。
    • 無理数全体の集合とか, 超越数全体の集合, あるいはカントール集合なんかは 実数と同じ濃度。


set4.pdf
http://sss.sci.ibaraki.ac.jp/teaching/set/set4.pdf

  • 例題 4.11. 超越数全体は R と同じ「個数」
  • π =3 . 14159 ... , e =2 . 71828 ... は具体的な超越数。


証明の方針は,基数の足し算を使う:

hirata.pdf
http://www.ma.noda.tus.ac.jp/u/ha/SS2006/Data/Hokoku/hirata.pdf

  • 有理数体 Q は可算集合であり,実数全体 R は非可算
    • だから,無理数は必ず非可算無限個存在 する.


無限について ~カントールの対角線論法~|数学美術館
http://ameblo.jp/interesting-math/entry-10679227143.html

  • 有理数が可算無限集合で、実数全体が非可算無限集合
    • ですので、 実は無理数(実数から有理数をひいたもの)が非可算無限集合なのです。
  • 有理数係数の代数方程式の解となる数は可算無限
    • 解とならない数(超越数)は非可算無限

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