微分形式・外積代数・外微分等を使う微分幾何学。物理法則をシンプルに記述

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微分形式・外積代数と外微分は,微分幾何学のツールであり,

これを使うと「物理学の諸法則をシンプルに美しく記述できる」というメリットがある。

以下でそれぞれ意味を解説。


物理法則をシンプルに書ける「微分形式」

微分形式を使うと,数学だけでなく,物理学の様々な複雑な方程式がシンプルで見通し良い,美しいものになる:

物理で、微分形式が使われるのはどんな時ですか? できれば具体的に教えてくだ...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...

  • 物理の基礎方程式を(多様体の)微分形式を使って表現しておくと、 座標変換(直交座標や極座標など)による方程式の書き換えといった 複雑な作業が見通しよく行える


前書き
http://members.jcom.home.ne.jp/122818...

  • 微分幾何を使うと,物理の諸方程式は非常に美しい形に書き直され、見るだけで感動を覚えるようになります。


Kamar Kecil di OnEcoTravel: 微分形式と熱力学
http://onecotravel.blogspot.jp/2009/0...

  • 熱力学に出てくるいろんな関係式は、微分形式で計算したほうが見通しがいい


EMANの物理学・解析力学・物理法則の形式
http://homepage2.nifty.com/eman/analy...

  • 物理学の法則は幾つかの形式に分類される。  
    • 一つは「微分形式」と呼ばれるものであり、 ある瞬間の状態からスタートして微小な時間経過の後に状態がどのように 変化するかを記述するやり方である。 ニュートンの運動方程式や、電磁気のマクスウェル方程式など、 多くの法則がこの形式で書かれている。
    • この他に「積分形式」で法則を記述する方法がある。  これは部分にはこだわらずに、全体として見た場合に どんなことが成り立っているかを書き下すやり方である。  エネルギー保存則や、電磁気学に出てくる積分形のガウスの法則などがこれに当たる。
  • ところが、これらとは全く違う記述方法がある。  ・・・その時使う方法が「変分原理」と呼ばれるものである。  あるいは「最小作用の原理」と呼ばれる


どうして物理法則をシンプルに書けるかというと,微分形式を使えば,座標系によらない形で法則を記述できるからだ。

微分形式・外積・外微分
http://www.geocities.jp/ikuro_kotaro/...

  • 微分形式は,古典的な微分の概念の精密化・一般化であると考えられる.
  • 古典的な微分・積分では,dxやらdxdyやらdxdydzやら奇妙な表記法がでてくるが,それぞれ微小な線分,長方形,直方体の意味にすぎない.    
  • そこで,曲線に対して微分1形式,曲面に対して微分2形式を定義する.
    • 微分形式は向きと大きさをもつ量であるが,しかし,その真の性格が意味が汲み出されるようになったのは比較的最近のことで,この微分形式を考えることが20世紀の数学に大きな影響を与えたという.    
  • 外微分形式を用いると,座標系によらない形で力学,電磁気学,相対論などを記述できるので甚だ都合がよい

微分形式同士の演算が「外微分」

この微分形式だが,微分形式同士の間で定義できる演算として,「外微分」がある。

外微分とは,全微分を拡張したようなもの。

外微分 [物理のかぎしっぽ]
http://hooktail.sub.jp/differentialfo...

  • 外微分 という演算によって,次数の異なる微分形式を関係づけることが出来ます.
    • 零次微分形式を一回外微分すると一次微分形式,一次微分形式を一回外微分すると二次微分形式,二次微分形式を一回外微分すると三次微分形式という具合に,外微分を行うことで,微分形式は一つ次数が上の微分形式に対応させられます


微分形式 (多様体)
http://ufcpp.net/study/manifold/diffo...

  • 発想としては、 ガウスの定理もストークスの定理も、「微分して積分」で説明が付く
    • → 「微分して積分」は全微分に相当する
    • 全微分を拡張した外微分というものを定義する
    • → ガウスの定理もストークスの定理も外微分で表現できる、 といった感じ

ベクトル解析を,微分形式でシンプルに表現できる「外積代数」(グラスマン代数)

「外積代数」のことを「グラスマン代数」ともいい,これはベクトルの外積を抽象化したもの:

[Q&A] グラスマン数について 【OKWave】
http://okwave.jp/qa/q705397.html

  • グラスマン代数は外積代数とも呼ばれ、平たく言えばベクトルの外積を抽象化したものです。
    • ベクトルの外積は、簡単に言うと右ねじの原理です。


外積代数を使うと,ベクトル解析の面倒な諸公式が,微分形式のきれいな表現に収まる:

面積素と微分形式 [物理のかぎしっぽ]
http://hooktail.sub.jp/differentialfo...

  • 外積代数の基底を dx,dy,dz にしてみただけで,『曲面の向き』『座標変換』『面積分の向き』といった面倒な話題が,綺麗に,微分形式の表現に収まってしまった
  • 外積代数も,やはり役に立たない抽象思考の産物では無かったわけです.

微分幾何学と位相幾何学の違いについて

微分形式を使って微分幾何学の議論を進めてゆくと,位相幾何学(トポロジー)や代数幾何学との接点も現れてくる。

多様体・微分形式・ガウス・ボンネの定理・ストークスの定理
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/de...

  • グラスマン流掛け算が、Λ、なわけだ。ウェッジ積 と読みます。
  • ベクトル空間の双対空間、外積代数を構成する際のイデアルの考えを使い、微分形式を座標変換に対して不変なように記述していくと, 自然に曲面そして多様体の概念に移行していく。
  • 微分幾何学の最後の方にでてくるガウス・ボンネの定理(高次元への拡張では微分形式が必要)は, 位相幾何と微分幾何とを結びつける定理であり、その結びつきは基本的にはストークスの定理によって実現される。
  • このストークスの定理はたいがいがベクトル解析の本の終わりで出てくる。これが微分形式の本ではより簡潔な美しい形で再説明されています。


外積代数 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9...

  • 微分形式の成す多元環を通じて現代幾何学、特に微分幾何学と代数幾何学において広く用いられる。


微分幾何とほかの幾何学の違いを述べると,

  • 微分幾何が「物理学の運動」と関係がありイメージしやすいのに対して,
  • 位相幾何学はとても抽象的。


また,あつかう多様体が異なる。

  • 可微分多様体を扱うのが微分幾何学であり,
  • 位相多様体を扱うのが位相幾何学。
  • 代数幾何が扱うのは代数多様体だ。

それぞれ扱う多様体の範囲が異なる。

位相幾何と微分幾何はどっちのほうが難しいでしょうか?_ また、それぞれ大学...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...

  • 位相幾何は本当に抽象的です。
  • 逆に微分幾何は物理学の運動と密接に関係しているのでイメージはし易いと思います。
  • しかしどちらも"ノートに描くことが困難"な図形を扱うことになる


微分幾何学とか位相幾何学とか代数幾何学とかってどう違うんですか?
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...

  • 可微分多様体を主な研究対象とするのが、微分幾何学です。
    • 局所的に座標系が定義されているので, 微積分を展開することができます。
  • 位相多様体を研究するのは、位相幾何学です。
    • 位相幾何学では、多様体に限らず、より一般的な位相空間を研究対象とします。
    • 可微分多様体は位相多様体ですから、微分幾何学と位相幾何学は一部重なっているといえます。
  • 代数幾何学は、多変数高次の代数方程式の解(代数多様体)を研究対象としています。
    • 高校で学ぶ解析幾何との違いは、複素数解を扱うことです。


有名な未解決問題だったポアンカレ予想は,もう解かれてしまったが,位相幾何学の問題だと思われていたのに,微分幾何を使って解かれた。

微分幾何らしく,計算の嵐であったという。

位相幾何では難しい方程式は使わないので。

ポアンカレ予想を理解するために
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...

  • 位相幾何学はどちらかと言えば論理と雰囲気で攻めて行くのに対し、微分幾何学は計算の嵐です。
  • 「Poincare予想に挑戦していた数学者達は3回落胆した。まず予想が解かれてしまったことに落胆し、その方法が自分たちの分野(位相幾何学)の方法でなかったことに落胆し、そしてその証明が自分たちにはさっぱり理解できないことに落胆した」


100年の難問 「ポアンカレ予想」 は、なぜ解けたのか! 天才数学者失踪の謎|「不動産投資と旅」現役大家さん、現役投資家の生の声を聞かせます。
http://ameblo.jp/e-fh/entry-108651376...

  • 20世紀の知の巨人 ポアンカレは 「微分幾何学では, とらえどころの無い宇宙の形は理解できない。まったく違った発想が必要だ」・・こうして生みだされたのが位相幾何学(トポロジー)です。
  • ポアンカレが考え出したトポロジーでは難しい方程式は使いません・・物のとらえかたが大雑把で柔らかいのです・・ポアンカレ予想が変わって見えるのはこの新しい数学トポロジーの分野の問題だからなのです。



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