人間同士に働く万有引力(重力)の強さを計算すると,砂つぶ2個分の重み (※体重60kgの人が1メートル離れている場合)
「人間同士の間に働く引力」の強さを,具体的に求めてみよう。
万有引力の公式を使って,物理学的に正確に計算してみる。
(1)万有引力とは?
質量(重さ)のある物体同士には,必ず引力が働く。
例えば…
- 人間と地球の間に働く引力 = 地球上の重力
- 海の水と月の間に働く引力 = 潮の満ち引き
- 地球と太陽の間に働く引力 = 地球が太陽の周りを公転するように引き留める力
これを万有引力という。
人間は,地球に引っ張られている。
その理由は,人間にも地球にも重さがあるため。
しかし,人間同士も同じようにそれぞれ質量を持っているので,
人間同士の間にも引力が働いている。
地球の引力と比べると,とても力が弱いので気づかないだけだ。
では,具体的にどれぐらいの強さで引っ張られているのだろうか?
(2)人間同士の間の引力を求める
引力の強さは,質量に比例する。2倍重ければ2倍の引力が働くのだ。
万有引力の公式は下記の通り。
ここで,
- Gは万有引力定数であり, という小さな定数。
- m は,それぞれ2つの物体の重さ。(kg)
- R は,二つの物体の間の距離。(m)
人間の重さを二人とも60kgとし,1メートル離れて立っているとしよう。
すると,引力の値は・・・
これが答え。
しかしこの力は,どれぐらいの大きさなのだろうか?
(3)力の大きさをわかりやすく例える
力の大きさは「ニュートン(N)」という単位で測る。
ためしに,1キロのお米を持った時に感じる重みを求め,それと比較してみよう。
地球上で下向きに感じる引力の強さは,
ここで m は物体の質量(kg)。
g は重力加速度で,値は9.8。
なので,1kgのお米を手に持ったときに下向きに感じる力は,10 [N] ほどだ。
この大きさをどんどん小さくしてみよう。
- 1円玉の重さは 1グラム だから, 1000 分の一すると,引力の強さは 10^(-2) [N] ほど。
- 塩10つぶの重さは1ミリグラムだから,さらに1000 分の一すると,引力の強さは 10^(-5) [N] ほど。
- ギリギリ見える大きさの砂粒ひとつの重さは1マイクログラムだから,さらに1000 分の一すると,引力の強さは 10^(-8) [N] ほど。
これで先ほどの計算結果と単位がそろった!!
人間同士の間に働く引力の大きさは,2.4 × 10^(-8) [N] である。
この大きさは,砂粒2つ分の重みに相当する。
ちなみに,体重が増加して 60kg ではなく 90kg になると,ひきつける力の大きさは1.5倍になる。
つまり,砂粒2つではなく,3つ分の重みになる。
これは,日常的に人間が暮らしていても,絶対に感じ取ることができないほどの弱い力だ。
しかし砂粒で例えると,その強さが完全にゼロではないのだ,ということがよくわかるだろう。
※ミリグラムやマイクログラムなどの重さについては,下記の記事を参照。
勉強メモ (大学の講義動画や,資格試験の対策)
http://study-guide.hatenablog.jp/
- 「ミリグラム」「ナノグラム」などの小さな重量の単位を,身近な具体例で表してみよう。 具体的にどれぐらいの重さなのかイメージしやすくなる。
参考資料
人間同士に働く引力は,極めて小さい:
万有引力の法則では、すべての質量のある物質、エネルギーに...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...
- 質量Mとmである物質どうしに作用する万有引力(狭い意味の重力)の大きさFは F = -G×M×m÷r^2
- Gの値がとても小さいために、人間同士、人間とリンゴなどの間に働く力はとても小さくて日常は無視できる
万有引力についての質問です。 - 地学 | 【OKWave】
http://okwave.jp/qa/q5149425.html
- 引力はその質量が大きいほど強いと考えて下さい。 つまり、人間程度の質量では互いに引き合う引力は極小ですから、影響はありません
- 太陽ほどの膨大な質量だと、引力も大きい
- もしその引力にとらえられたら、抜け出すのは非常に難しいです。飲み込まれる
- しかし、惑星は太陽の周りを回ることによってその遠心力で、外に出て行く力と太陽の引力が釣り合って均衡を保っています。
万有引力。: 三代目徳岡邦夫コラム
http://kyotokitcho.seesaa.net/article...
- 引き付ける力は質量と比例していて、質量が大きいと引力も大きくなる
- 地球の質量は大変大きく、人間の質量と比べると桁違い
- それで、人間が地球を引き付けている引力をなかなか感じることが出来ない
定数の正確な値:
万有引力の法則:物理学解体新書
http://www.buturigaku.net/main01/Mech...
- 万有引力定数の値は「6.672×10-11Nm2kg-2」である。 マイナス11乗という指数から見ても、いかに引力の大きさが日常で検知しえないほど小さいことが分かる。
重力加速度 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%...
- 1901年の国際度量衡総会において、標準重力加速度の値を、正確に 9.806 65 m/s2 と規定し、以来その値が用いられている。