相対論と力学のやさしいパラドクス「光速を超える方法は,長い棒か巨大なハサミをテコに動かせばよい?」
相対性理論は間違っている,と思わせるパラドックス:
長さ数百万キロメートルの「長い棒」または「巨大なハサミ」を動かせば,
その先端の速度は,光速を超えるのではないか?
この問題の内容は小学生にもわかる。
しかし,物理学的に正しい回答をできるだろうか?
このパラドックスへの回答
回答のカギになるのは,
- 「音速」「弾性体」
- 「完全な剛体は存在しない」
- 「相対論的質量を考慮する必要がある」
ということ。
この問題中の棒やハサミが,
もし理想的な剛体であれば,
確かに先端が光速を超える。
手元の動きに連動して,先端も同時に動くからだ。
テコの原理で,手元の動きよりも先端の動く量のほうが
何倍も多くできる。
しかし・・・
実際には,理想的な剛体などというものは存在しない。
なぜなら,
物質中を「力が伝わっていく」というのは,
一瞬で伝わるのではなく
「その物質内の隣り合う原子が,順番に押し合って,波のように力が伝播する」
ということだから。
ドミノ倒しみたいなものだ。
なので,この場合は力の伝播するスピードは,
光速どころか音速を超えられないのだ。
ここで言う音速とは,空気中の音速ではなく,
その物質の材料中での音速。
糸電話の糸を音の振動が伝わっていくのと同じ。
さらに,
「高速で移動する物体は,相対論的な質量が増す」
「その物体を動かすために必要なエネルギーは無限大まで増えてしまう」
ということも考慮しよう。
速さが光速に近づくと,質量は無限大になり,
動かすために必要なエネルギーも無限大になる。
無限大というエネルギーは存在しない。
だから,
有限のエネルギーでできることには限りがあって,
動かす速度をスピードアップできる範囲も
光速未満なのだ。
長い棒の場合:
超光速通信 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%8...
- 一光年の長さの棒があれば、この棒を押すことで一光年先でも瞬時に情報を送ることができるように見える。
- しかし、実際には固体物質の一端を押した場合でも、結局はある一端の原子・分子の運動が、原子・分子同士の固体結合力により波動として隣り合う原子・分子に伝達され、最終的に他の一端まで到達する
- その波動の伝達速度は流体などを考慮すれば、どんなに硬度の高い固体であっても明らかに光の速度より遅い
地球から1光年先まである長い棒があったとして
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/sl...
- 棒って原子の集まりなんだ。 原子って陽子の周りに雲みたいに電子が取り巻いてる物な。
- そんでその雲が、となりの雲から押されると 電子同士の反発で原子は押しのけられるのな。
- これの連続で棒は移動する。 つまり、わずかではあるが電子の雲が変形する ワンクッション=タイムラグがある。
棒でツンツン超光速 - 小人さんの妄想
http://d.hatena.ne.jp/rikunora/200809...
- 棒は原子からできており、原子間の相互作用は光速を越えて伝達しない。
- 長い糸をお互いに引っ張り合って行う通信とは、何か。 これは要するに「糸電話」のことだ。
- 棒でつつく場合も、結局は糸電話と同じことだ。 長い棒の端を、例えば金槌か何かでたたけば、振動は棒を音速で伝わってゆく。
とてつもなく長い棒をテコのように動かすと光速を超える事が出来るので...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...
- 光速度を超えることができないのは“運動する物体の質量は増大する”ためです。
たとえば、地球から土星まで届くような棒を用意したとします。そ…
http://q.hatena.ne.jp/1120221211
- みんな考えるんですね〜、棒通信。
長いはさみの場合:
物質は光速を越える[思考実験] 【OKWave】
http://okwave.jp/qa/q5542186.html
- 先端はどんどん光速に近づいていきます。
- 相対論的質量という言葉を使うことにすれば、先端の相対論的質量はどんどん大きくなり、手許で加える力はどんどん増大していきます。
- かくして先端が光速に達したとすれば、先端の相対論的質量は無限大で、このとき手許で加える力は無限大になります。無限大の力はありません。
- 先端が光速を超えるなら、手許の力も無限大より大きいという、さらにあり得ないことになります。
- ですので、先端が光速を超えることはありません。したがって先端までのどの箇所も光速を超えません。
巨大なハサミを宇宙空間で広げる思考実験についてずっと昔なんですが、私の兄...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...
- 理想的な剛体、すなわち、力を加えても変形しない物体、というものがあれば、そういう議論が話としては成り立ちます。
- しかし、物理現象を考慮すると、理想的な剛体は存在しません。
高速で閉じる大きなはさみの運動はどうなる? - Goo知恵袋
http://otasuke.goo-net.com/qa4660140....
- 一端を閉じようとする動きが、材料にゆがみを生じ、そのゆがみが伝わっていって他端が閉じる
光の速さについてです。何かの本に、「刃が十分に長...
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/...
- 投影面上の光点移動速度については光速を超えることも許されますが, 質量のある物体についてはそうはなりません。
- 物体に伝わる力は, その物体の音速でしか伝播しません。
- 音速とは, 隣り合う分子や原子が力を伝えていく早さだからです。
- 長いはさみを勢いよく閉じても、はさみが音速で波打ちながら閉じていくだけです。
長さ数百万キロメートルのハサミを広げたら光速超える? | ログ速@2ちゃんねる(net)
http://www.logsoku.com/r/2ch.net/news...
- 光速に近づくほど質量が大きくなるから 無限のエネルギーが必要。
- 刃の交点は光速を超えるけど この場合、超えるのは物質でもエネルギーでも情報でもないわけだから意味は無い。
上記のパラドックスよりも,
「光速を超える」系のパラドックスは
もっと難解なものがある。
たとえば,アインシュタインを悩ませた「EPRパラドックス」。
これはもう実験によりパラドックスではなくなっている。
現在では「EPR相関」という呼び名だ。
量子力学(アインシュタインと量子力学)
http://homepage2.nifty.com/einstein/c...
- アインシュタイン曰く「遠く離れた物質が、瞬時に影響し合うはずがありません。相対性理論によれば、光の速度よりも速く伝わる信号はないのです。これでは、テレパシーの存在を認めるようなものです。」
- アインシュタインが突きつけたパラドックスに、根本的に答えることができないまま、量子力学は理論を発展させていった。アインシュタインの友人達は一人また一人と、量子力学の信奉者へと変わっていった。
- プリンストン高等研究所への道すがら、彼は、こうつぶやいた。「私は、相対性理論の百倍も量子力学について考えている。」量子力学をめぐる苦悩の中で、アインシュタインの孤独は深まっていった。
Nikon|光と人の物語|双子の光と量子テレポーテーション
http://www.nikon.co.jp/channel/light/...
- アインシュタインが言うように、あらかじめA、あるいはBになることはあらかじめ決まっているのだろうか。
- この確認方法が出たのは1960年代になってからだった。アイルランドの高名な物理学者ジョン・ベルはこれを検証する画期的な方法を提案したのだ。
- この実験は難しかった。しかし1980年代になってようやく光子を使って実験が成功し検証された。
- 結果は量子力学の勝利だった!エンタングルメントの不思議な関係は本当に起こることであり、アインシュタインは間違っていたのだ。パラドクスは解消された。