全微分とは偏微分の線形和で,意味は「変化の原因」を全て足し合わせること
大学で学ぶ微積分の重要キーワード「全微分」について,イメージをわかりやすく解説する。
(1)「変化の理由」を全て考慮したトータルの変化量=全微分
物事には,変化の理由がたくさんある。
- 変化の理由を1つだけに絞ったのが偏微分。
- 変化の理由を全て考慮したのが全微分だ。
だから,部分的な性質を調べる時には偏微分を使う。
全体的なトータルの変化を計算する時には,全微分を使う。
そして,部分的な変化の合計が全体の変化になるので,
全微分を求めるためには偏微分を足し合わせることになる。
というわけだ。
2変数の関数で考えると,もし連続であれば「全微分」の増分は,
まずx方向の増分を考えてからy方向の増分を足す,という操作で求められる。
この順序は入れ替えてもよい。
要は,偏微分の影響を足し合わせれば,トータルの変化量として全微分が求まるということ。
zen
http://www.geocities.co.jp/Technopoli...
- xとyをそれぞれ微少量だけ増加させたときのf(x, y)の増加量dfは、x方向の増分dxと、y方向の増分dyの和で表されます。
- よって、df=となります。これが、全微分の公式のグラフ上での意味です。
全微分と計算|SystemTradingのブログ
http://ameblo.jp/hsf-systemtrading/en...
- 全微分とは, 各々の変数の偏微分の合計
(2)「細かいものが複数,組み合わさる」という時に全微分が必要
微小な誤差が複数だけ組み合わさる場合の計算問題に,全微分は役立つ。
誤差の線形和を作る際には,偏微分を係数とすれば良い,というのが全微分の使いどころなので。
基礎数学演習I
http://racco.mikeneko.jp/Kougi/98s/Ki...
- 2変数関数のそれぞれの変数に,0.1%と0.2%の誤差がある時,函数全体の誤差はいくつか,という問題。
5_全微分.dvi - chem_math5a.pdf
http://www.ge.ce.nihon-u.ac.jp/~kiyon...
- 小数の組み合わせの近似値を求める問題。小数を,計算しやすい値と誤差の組み合わせとみなせばよい。
(3)定義に惑わされるな
「全微分可能」の定義の意味は,少し分かりづらいが,実はたいしたことはない。
一変数の微分の定義が,( f(x + h) - f(x) ) / h の極限だったことを思い出そう。
これを二変数やそれ以上に拡張すると,分母に√(h^2 + k^2)が出てくる。
これは,「変数の移動分の距離ないしノルムを,
一変数にも多変数にもあてはまるように定義した」
というだけのことで,深い意味は考えなくてよい。
全微分
http://www.cfv21.org/phys/totaldif.htm
- 全微分可能というのは、曲面の接平面が存在することを意味します。
偏微分と全微分 : kei@sodan
http://funini.com/kei/math/analytic3....
- 「全微分不可」というのは、例えばサイコロの頂点を考えて下さい。この点は偏微分もできません
- 「偏微分可能だけど全微分不可能」ってのは、サイコロの辺のところを考えてみよう。
(4)全微分が使えると便利
全微分が使える状況下では,積分は経路に依存しない。
全微分に関するメモ - Total_derivative.pdf
http://kisokouza.island.ac/documents/...
- しかしながら、全微分が得られるような関数では、積分値は始点と終点のみにより一意に決定することができ、そこに至る経路に依存しないことが保障されている。
- 熱力学で用いられる各種の関係式のほとんどは多変数関数であり、これらの式展開を行う際に、全微分の考え方は非常に重要
- また、熱力学においては、全微分可能な関数によって決められる物理量を状態量と呼ぶ。これは、系の状態だけで一意に決まり、過去の履歴や経路には依存しない物理量のこと
完全微分
http://jaguar.eng.shizuoka.ac.jp/lect...
- 不完全微分は積分経路を指定しない限り不完全である. しかし, 完全微分に対しては, 積分経路を指定する必要はない.
全微分は線積分でも役立つ。
全微分について復習してみる - jun_dowの日記
http://d.hatena.ne.jp/jun_dow/2012103...
- 全微分を線積分すると,初期状態から終了状態までの差分になる。グラディエントとdrの内積を線に沿って積分する。実際の計算は媒介変数を介して行なう。
高階の全微分は,d^n f = (dr・∇)^n f として計算できる。