三角関数の,正弦定理・余弦定理・加法定理のイメージと証明を把握しよう
三角関数の,正弦定理・余弦定理・加法定理のイメージと証明について。
この部分は高校数学の中でも公式が多く,混乱してつまずきやすい。
公式のイメージをつかんで,自分で証明を導出できることが重要
対処法としては,公式を覚えるだけでなく,イメージをつかみ,証明を自分で把握して導出できるようにしよう。
そうすれば公式を忘れても自力で公式を導くことができる。
正弦定理のイメージとは?
まず正弦定理は,「sin と対辺の比はどの角も同じ」という定理。
sin は,定義から分かる通り,垂線と関係がある。
だから,sin に関係する証明で困ったら,垂線を引けばよい。それが正弦の定義なのだから。
正弦定理の証明でも,垂線を引いて,垂線を2つの格から共有する形で2通りの値を出して,イコールでつなげば完了。
そうすると,おもしろいことに,「sin に関係があるのは垂線だけでなく,対辺も関係がある」ということになる。
垂線のほうは自明な関係だが,対辺との関係は自明ではない。
そこが正弦定理のおもしろいところ。
このおかげで,今までは「垂線で困ったら sin を持ち出す」という思考法だったのが,
「対辺で困ったら sin を持ち出す」
という思考法も加わることになる。
余弦定理のイメージとは?
次に,余弦定理。
余弦定理は他の2つの公式と関連がある。余弦定理は,
- 三平方の定理を拡張して,直角三角形ではない一般的の三角形でも使えるようにしたもの
- ベクトルの内積を定義するためのもの
である。
ベクトルの内積は,2辺の長さにcosをかけたもの。
cosは「2つのベクトルの類似度」なのである。
同じ方向を向いているほど正であり,直角なら類似していないから0。
直角三角形で,直角の対辺にはピタゴラスの定理が当てはまる。
しかし一般の三角形では,直角から外れた分だけ,つまり角をはさむ2辺が類似していればいるほど,対辺の長さも減ってくる。
だから,対辺の長さから「類似度」の分だけ引いて補正する必要が生じる。
このために自然にcos が出てくる,というのが余弦定理。
証明も,直角三角形の延長で考えればよい。
一般の三角形の中に,直角三角形を2個作れば,自然に余弦定理を証明できる。
余弦定理
http://w3e.kanazawa-it.ac.jp/math/cat...
「内積の定義」の導入について
http://izumi-math.jp/G_Kakuta/in_pro/...
- 余弦定理からcosが出てくる
「相関係数とは何か?」 を体系的に理解するための6ステップ
http://language-and-engineering.hatenablog.jp/entry/20090128/1233151846
- ベクトルがなす角の余弦: 類似度の数値を, -1(完全に異なる) 〜 +1(同じ) の範囲に正規化したもの。